はじめに:どうして自分の気持ちを表現することが難しいの?
「嬉しいのか悲しいのか分からない」「何を考えているのか伝わらない」「『イヤ』しか言わない」そんなお子さまの表現に関する様子に、コミュニケーションや人間関係への心配を感じていらっしゃる保護者さま、多いのではないでしょうか。でも、こうした「表現できない」には、さまざまな背景がある場合があります。たとえば、自分の気持ちを言葉にする語彙が少なかったり、感情と言葉が結びついていなかったり、表現しても受け止めてもらえなかった経験から諦めていたりなど、一人ひとり感じ方や得意・苦手が異なります。児童発達支援・放課後等デイサービスでは、そうしたお子さまの特性に合わせて、言葉だけでなく表情やジェスチャー、絵や体の動きなど、様々な方法で自分を表現する楽しさを体験し、伝える力を無理なく育てていけるようサポートしています。
1. 表現力とは:自分を伝える様々な方法
表現することが難しい理由の例
表現力とは、自分の気持ちや考えを相手に伝える力のことです。言葉だけでなく、表情、ジェスチャー、絵、体の動きなど、様々な方法があります。発達特性のあるお子さまの中には、気持ちを表す言葉の種類が少なく、「楽しい」「悲しい」「怒っている」などの基本的な感情語しか知らないこともあります。また、自分が今どんな気持ちなのか自覚できず、表現する以前に気づいていないこともあります。過去に表現しても理解してもらえなかったり、否定されたりした経験から、表現することを諦めてしまっていることもあります。周囲の反応を気にしすぎて、本音を言えないお子さまもいますね。
表現力が育つことで期待できる効果
表現力が育つと、自分の気持ちや考えを相手に伝えられるようになり、ストレスが減る施設が多いです。言葉や行動で気持ちを表現できることで、癇癪やパニックが減り、穏やかに過ごせるようになります。相手に伝わる喜びを感じることで、コミュニケーションへの意欲が高まります。自分の意見や要求を適切に伝えられることで、友達や大人との関係が良好になることもあります。自己表現ができることで、自己肯定感が高まり、自信を持って生活できるようになりますよ。
2. 表現する方法を学ぶ:言葉以外の表現も大切に
表現方法を学ぶことが難しい理由の例
「どう伝えればいいのか分からない」というお子さまが多いです。また、言葉で表現することが苦手なお子さまにとって、「話しなさい」と促されることがプレッシャーになることもあります。表現の仕方を教えられても、実際の場面で使えるようになるまでには時間がかかります。表現したことが相手に正しく伝わらない経験が続くと、「伝えても無駄」と感じてしまうこともありますね。
表現を育てる支援の工夫
感情カードを使って、「今どんな気持ち?」と選んでもらうことで、気持ちを認識し表現する練習をしている施設があります。絵を描いたり、粘土で形を作ったりして、言葉以外の方法で自分の気持ちを表現する活動を取り入れることも効果的です。ロールプレイ(劇遊び)を通じて、「こういう時はこう言うんだよ」と具体的な表現方法を練習している施設も。「嬉しい」「悲しい」「困った」など、基本的な感情を表す言葉を、実際の体験と結びつけて教えることもあります。お子さまが表現しようとした時に、職員が「〇〇って言いたいんだね」と言葉を補い、表現のモデルを示すこともあります。発表の場(制作物の紹介、今日の感想など)を設け、人前で自分を表現する経験を積めるようにしている施設もありますよ。
3. 表現を受け止める環境:安心して伝えられる場づくり
表現を受け止めにくい理由の例
大人や周囲の子どもたちが忙しく、お子さまの表現をゆっくり聞く時間がないことがあります。また、お子さまの表現が分かりにくい時に、大人が先回りして答えを言ってしまうこともあります。表現したことを否定されたり、「それは違う」と訂正されたりすると、表現する意欲が失われます。表現の仕方が適切でない時に、内容ではなく方法ばかりを注意されることもありますね。
安心して表現できる環境の工夫
お子さまが話し始めたら、最後まで遮らずに聞くことを大切にしている施設があります。表現が拙くても、「伝えようとしてくれてありがとう」と受け止める姿勢を示すことも効果的です。「正しい表現」を求めるのではなく、「伝えたい気持ち」を尊重している施設も。お子さまが表現した内容に共感し、「そうだったんだね」「それは嬉しかったね」と気持ちを受け止めることもあります。少人数や個別の時間を設け、安心して表現できる場を用意している施設もあります。表現したことが相手に伝わった成功体験を積み重ねることで、「もっと伝えたい!」という意欲を育てていますよ。
4. 家庭との連携で大切にしていること
施設での表現力向上の取り組みをご家庭でも継続できるよう、多くの施設では以下のような連携を心がけています。
- お子さまが使えるようになった表現方法(感情カード、ジェスチャーなど)を家庭でも使えるよう共有する
- 効果的だった声かけ(「どんな気持ち?」「何が嬉しかった?」など)を具体的に伝える
- お子さまが表現できた瞬間を一緒に確認し、成長を喜び合う
もちろん、施設によって具体的な方法は異なりますので、詳しくは通っている施設にご相談くださいね。
保護者さまへ
お子さまが何を考えているか分からない、もどかしいですよね。でも焦らなくて大丈夫です。表現する力は、安心して伝えられる環境の中で少しずつ育ちます。「話しなさい」より「どう思った?」と優しく聞いてあげてください。私たちも全力でサポートします。