はじめに:どうして新しい言葉を覚えることが難しいの?
「言いたいことがあるのにうまく言葉にできない」
「知っている言葉が少なくて話が続かない」
「質問するとすぐに“わからない”という」
「新しいことばや漢字が覚えられない」
そんなお子さまの様子を見て、ことばの発達や学習面の心配される保護者さまもいらっしゃるのではないでしょうか。
お子さまの理解できる語彙が少ない場合、背景には、次のような理由が関係していることがあります。
- 新しい言葉に触れる機会が少ない
- 言葉と体験がうまく結びついていない
- 聞いた言葉を覚えておくのが難しい
- 抽象的な語彙の理解がゆっくり抽象的な語彙:「感謝」「親切」「努力」「信頼」など、目に見えないことや感じ方を表す言葉のことです。そのため、「りんご」「いす」「走る」などの 基本的な語彙 よりも、理解しにくいことがあります。
また、お子さまによっては、好きな分野の言葉ばかりが増えていくこともあります。
たとえば「恐竜の名前は全部言えるけど、気持ちを表す言葉は少ない」など、
得意と苦手の差がはっきり見えることもあります。
こうしたときは、知らない言葉を「教え込む」ではなく、 *好きなことをきっかけにことばの世界を広げていく”ことが大切です。
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、お子さま一人ひとりのペースに合わせて、遊びや体験を通して「わかった」「言えた」「伝わった」という経験を積み重ね、 豊かな語彙と表現の力を育てています。
1 基本語彙を育てる
―身近な生活の中でことばと出会う―
お子さまの言葉の発達は、まず**「目で見て、触れて、聞いて」感じたものに名前がつく**ところから始まります。 実際の物や経験と結びつかないと、言葉はなかなか定着しません。
● 施設での支援の工夫
- 実物・絵カード・写真を使って、「これはりんご」「これはバス」と、実際の体験と結びつけて覚える
- 活動中に「赤いボール」「大きい箱」など、形容詞を交えながら自然に語彙を増やす
- 語彙ゲームやカルタを通して、楽しみながら繰り返し言葉に触れる
- 同じグループの言葉(動物・食べ物・乗り物など)をまとめて学び、整理して理解できるようにする
- 「何色?」「どんな感じ?」などの質問を通して、言葉を引き出す練習をする
● 活動例
- ことば探しごっこ:「青いものを見つけよう」「丸いものを探そう」と身の回りで探す遊び
語彙カルタ・しりとり:カードや音声を使って遊びながら言葉を覚える
2 性質や関係を表す言葉(ものの特徴や比べ方を表す言葉)を広げる
―気持ちや時間など“見えないこと”を言葉で理解する―
「うれしい」「くやしい」「あとで」「たくさん」など、 見えないものを言葉で表すのは、少し難しいステップです。
● 施設での支援の工夫
- 表情カードや場面絵を使って「今、どんな気持ちかな?」と気持ちを言葉にする練習
- 日常の体験と結びつけて「頑張ったね」「ちょっと疲れたね」と、感情と言葉を自然にリンクさせる
- 時計やカレンダーを使って「今日・昨日・明日」の違いを理解する
- ブロックやおはじきを使って「多い・少ない」「重い・軽い」などを実際に体験して覚える
- 反対言葉やペアゲームで「速い⇔遅い」「高い⇔低い」など、言葉の関係性を楽しく学ぶ
● 活動例
- 気持ちカードゲーム:「この顔はどんな気持ち?」「どんなときにこうなる?」と話し合う
比べっこ遊び:「どっちが長い?」「どっちが重い?」を体感で学ぶ
3 言葉を使う力を伸ばす
―覚えた言葉を“自分の表現”に変える―
言葉を知っていても、それを自分の気持ちや体験に合わせて使うのはもう一段階の成長です。 “使う力”を伸ばすには、安心して話せる環境と、繰り返し使う経験が大切です。
● 施設での支援の工夫
- 「今日の出来事を3つの言葉で教えてね」など、短い言葉でまとめる練習をする
- ごっこ遊びやロールプレイで「いらっしゃいませ」「どうぞ」など、場面に合った言葉を使う
- 絵日記や簡単な作文で、覚えた言葉を文章の中で使う機会を作る
- しりとりや連想ゲームで、言葉を思い出しながら語彙の定着を図る
- グループ活動で友達の使う表現を聞き、言葉の使い方を自然に学ぶ
● 活動例
- お店やさんごっこ:「いらっしゃいませ」「これください」などのやりとり
今日のお話発表:「楽しかったこと」を3語で話す簡単スピーチ
4 ご家庭との連携
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、 施設での経験がご家庭でも自然に続けられるよう、保護者の方と連携しています。
- 家庭でもできる言葉あそびや会話のヒントを共有
- その日覚えた新しい言葉や印象的な表現をお知らせ
- 職員からお子さまに合った声かけや褒め方の工夫をお伝え
お子さまが「話すって楽しい」「伝わった!」と感じられるよう、
ご家庭と施設で一緒に支援を重ねていきます。
保護者さまへ
―「覚えた言葉の数」よりも「伝えようとする気持ち」を大切に―
言葉の発達は、焦らず一歩ずつ進んでいくものです。
たとえ言葉が少なくても、「伝えようとしている」「聞こうとしている」姿を見つけ、
その気持ちを受けとめてあげることが、次の成長につながります。
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、
お子さまの「わかった」「言えた」「伝わった」の瞬間を大切にしながら、
保護者の方と一緒に、ことばの世界を豊かに広げていきます。