はじめに:どうして「考えること」が難しいの?
「困ったときにどうしたらいいかわからない」 「言われた通りにはできるけれど、自分で考えるのが苦手」―― そんなお子さまの姿を見て、先々の学習や生活の自立を心配される保護者さまも多いのではないでしょうか。
「考える力」は一言でまとめられるものではありません。
3つの側面から見てみると、その育ち方が少しずつ見えてきます。
| 力の側面 | 内容の説明 |
| 論理的に考える力 | 順序や理由を理解し、筋道を立てて考える力 |
| 問題を解決する力 | 困ったときに方法を考え、行動を工夫する力 |
| 発想を広げる力 | 別のやり方を思いつき、試してみる柔軟な思考力 |
これらの力は一度に身につくものではなく、 日々の経験や人との関わりを通して少しずつ育まれていきます。
年齢ごとの発達の目安
| 年齢のめやす | 育まれる力の特徴 |
| 3~4歳ごろ | 「どうして?」と原因を尋ね、周囲の出来事への関心が育つ |
| 5~6歳ごろ | 「順番」や「理由」を理解し、物事を整理して考え始める |
| 小学生ごろ | 「もしこうしたら」「別のやり方もある」と、自分で考え、工夫しようとする姿が見られる |
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、お子さまが“わかった”“できた”と感じられる活動を通して、自分で考えて工夫し、行動できる力を育てていきます
第1章 論理的に考える力を育てる
―「なぜ?」「どうして?」のつながりを理解する―
考える力の土台となるのが、「順序立てて考える力」、 つまり物事の原因と結果や順序のつながりを理解する力です。
たとえば、「靴下をはいてから靴をはく」「水を入れてからコップを渡す」など、 日常生活の中には“順番”や“理由”を考える場面がたくさんあります。
お子さまの中には、行動の手順を頭の中で整理することが難しかったり、 「なぜそうなるのか」という因果関係の理解に時間がかかる場合もあります。
療育での支援の工夫
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、活動の流れややりとりの中で、 「○○だから△△するんだね」「これをしたら次はこうなるね」といった声かけを重ね、 物事のつながりを丁寧に伝える支援を行っています。
また、次のような活動を通して「考えるプロセス」を体感できるよう支援します。
- 「まず~」「次に~」と順番を言葉やカードで見える形にして確認する
- 迷路やパズルで「どう進めばゴールに行けるかな?」と道筋を考える練習をする
- ブロックや工作で「どうしたら崩れない?」「どんな順番で組む?」と試行錯誤する体験を積む
ご家庭で意識できる関わり
- 「お風呂に入る前に服をたたもうね」など、手順を声に出して確認する
- 一緒に料理をしながら「次は何を入れる?」と順番を話し合う
- 「どうしてそう思ったの?」とたずね、考えの筋道を整理する手助けをする
第2章 困ったときに考えて動く力を育てる
―「うまくいかない」を一緒に考える―
何かが思い通りにいかなかったときに、「どうしたらいいかな?」と考えたり、 自分なりにやり方を工夫したりする力が「問題解決の力」です。
ただし、この力はいきなり身につくものではなく、 失敗や試行錯誤を通して少しずつ育っていきます。
療育での支援の工夫
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、職員が一緒に考える過程を大切にし、 活動の中で「考える → 試す → 振り返る」という流れを丁寧に支援します。
たとえば、
- 「積み木が倒れたね。どうしたらもっと高く積めるかな?」 → 原因と結果を考え、試しながら工夫する経験を重ねる
- チームでの対戦や協力ゲームなどを通じて、 → どうすればうまくいくかを仲間と一緒に考え、話し合う力を育てる
職員は、お子さまの発達段階に合わせて声かけや課題の難易度を調整し、 安心して「考えてみよう」「やってみよう」と思えるよう支援しています。
ご家庭で意識できる関わり
- うまくいかないときにすぐ答えを教えるのではなく、 「どうしたらいいと思う?」と問いかけて一緒に考える時間をつくる
- 失敗したときには「やってみようとしたね」「考えようとしていたね」と、努力の過程を言葉にする
- 助けを求められたら「助けを呼べたね」と、行動そのものを肯定する
- 成功したときだけでなく、「工夫したこと」「考えたこと」を共有してほめる
こうした積み重ねが、「困っても立ち止まらずに考える力」につながっていきます。
第3章 発想の幅を広げる力を育てる
―自由な考え方で「工夫する力」を伸ばす―
一つのやり方にこだわらず、別の方法やアイデアを考えられる力も、 「考える力」の大切な一部です。
年齢が上がるにつれて、柔軟な発想や「こうすればうまくいくかも」と試してみる意欲が育っていきます。 ただ、慣れたやり方に安心しやすいお子さまは、新しいことに挑戦するのが難しいこともあります。
療育での支援の工夫
- 「空き箱で何が作れるかな?」など、正解のない課題で発想を広げる
- 「もし○○だったら?」と仮定の話をして、考えを広げる練習をする
- 友達や職員のアイデアを共有して、「そんな考えもあるんだね」と多様な視点を学ぶ
- 「できた・できない」よりも「試してみたこと」を評価する
ご家庭で意識できる関わり
- 工作やお絵かきで「次はどうしてみよう?」と自由に発想できる場をつくる
- 日常で「どっちの道を通って帰る?」「どんな順番で片づけようか?」など、選ぶ機会を増やす
- 失敗しても「やってみようと思ったのがすごいね」と気持ちを受け止める
第4章 ご家庭と一緒に育てる関わり
児童発達支援・放課後等デイサービスでは、 施設での経験がご家庭の生活でも続けられるよう、職員が日々の様子を共有し、 ご家庭に合わせた工夫を一緒に考えています。
「おうちでできたこと」「苦手な場面」をお聞きしながら、家庭・療育・学校をつなぐサポートを進めています。
家庭と施設が同じ方向を向くことで、お子さまがどの場面でも安心して力を発揮しやすくなります。
保護者さまへ
「考える力」は、学習だけでなく、生活や人との関わりを支える大切な基盤です。
一度に多くを求めるのではなく、「できたこと」「考えようとしていたこと」を丁寧に積み重ねていくことが、
将来の学習や生活の中で“自分で考えて動く力”につながっていきます。
お子さまの頑張りを一緒に見つけ、少しずつ支え合いながら進んでいきましょう。